家康と同盟を組んだ元親は、彼の天下統一の手助けをしていた。
のであったが。
「っおい家康？！」
最後の難関・奥州筆頭伊達政宗とその右目である片倉小十郎を打ち倒し、
その偉業を成し遂げた、と思われた直後。
家康は部下である本多忠勝に乗って上空に飛び立ち、
そのまま何処へかと去って行ってしまったのであった。
元親独り、戦場に残して。
「…行っちまったな」
倒されはしたが致命傷を負わなかった政宗がゆっくりと身を起こし、片膝を立てて座る。
頬杖をつき、「それで」と呆然と立ち尽くす元親の背中に話し掛けた。
「アンタはどーするんだ？
誰か迎えが来るにしろ独りで帰るにしろ
いつまでもそこで突っ立ってる訳にもいかねーだろ」
政宗の近くに倒れていた小十郎も起き上がった。
相当な痛手が残っているのかふらついているが、
気力で立ち上がり政宗の横に付く。
「…独眼竜」
「ん？」
「悪ぃが暫くアンタんとこに置いてくんねーか。
その、怪我が良くなるまででいーからよ」
そして二人ほどではないにせよ、
元親も戦闘でかなりな攻撃を受けていたのだった。
「政宗様。こやつは貴方様の天下獲りを目前で邪魔した」
「OK、良いぜ西海の鬼。
客人として丁重にもてなしてやるから楽しんできな」
「政宗様っ」
「小十郎。
俺もお前も敗けた。だが生きてる。
なら勝った奴等に従うのが道理だ。you see？」
「…左様で御座いますな」
「いや、俺の立場はそんな偉ぇモンじゃねーんだが」
家康にくっついて来ただけだし、と
しゃがんで視線を合わせ、ばつが悪そうに頭を掻く元親に
政宗はにやりと笑って見せた。
「そういうアンタだから手を貸すのを嫌だとは感じねーのさ。
好きなだけ泊まってきな」
「独眼竜」
元親は掛けられた言葉を噛み締め、
破顔した。
「やっぱアンタ良い男だぜ！
ますます気に入った！」
ばしばしと遠慮なしに背中を叩かれ、痛みに眉を顰めながら
「なんなら家康から乗り換えたって良いんだぜ？」
政宗は嘯く。
「ははっ。それも考えとくかな！」
元親は政宗に手を貸し立たせ、肩に腕を回させる。
「おい。アンタだって怪我してるんだろーが。
独りで平気だ」
「無理すんなって。
俺はアンタらに比べりゃ軽傷なんだ。
なんなら、背負ったり抱っこしてやったりだって良いんだぜ？」
「…あいつらにんな情けねぇ姿晒せるかよ」
「部下の目がないとこならさせてくれんのか？」
「その言い方、したいように聴こえるぜ？」
「おう。独眼竜を抱える機会なんて滅多になさそうだもんな！」
「機会とかの問題じゃねぇだろ…」
二人の押し問答を小十郎は直ぐ後ろではらはらしながら聴いていた。
本調子であるならば割り込んで自分が政宗を護るのだが
まだ独りで歩くので精一杯だった。
「機会、か…」
元親は口の中で呟く。
「思いもかけない良ぃ機会だぜ。
いっちょ独眼竜とイヤって程仲良くなって家康に見せつけてやるかな」
家康が政宗にとどめをささなかった理由を元親は知っていた。
気に入っているのだ。
あの男は、この男を。
「何か言ったか？」
「いや…あー、いやじゃねぇな」
「han？」
元親は政宗の顔を覗き込んだ。
息がかかるほど近くで。
「世話になるぜ独眼竜。
そんかわり、アンタが問題なく動けるようになるまで世話をするぜ？」
「…遠慮しとく」
「んなモンすんなって。
大丈夫。とって喰いやしねーよ」
「んな言葉、
とって喰いたいと思うやつしか口にしねーぞ…」
小十郎が殺気とともに突っ込むが
政宗はまるで意味がわかっていない。
それより、気が合いそうだと常常思っていた相手が
おそらく短くはなく共に暮らすことになり
知らず浮かれていた。
年齢が余り離れていない、似たような立場の人間と
こんな風に交流を深める事など今まで無かった。
あまり表面に出さないが、嬉しく思い、また楽しみだと感じていたのだ。
そんな空気が小十郎にはひしひしと伝わってしまったからこそ
強く反対できなかったのである。
貞操だけは身を賭してでも守り切る、と
固く誓うしか出来ない。
元親が政宗をそのような目で観ているとは、そして実行に移すかもとは
杞憂であれば良いと思いつつ、
否定しきれないのだから警戒は怠れない。
西海の鬼が奥州筆頭と睦まじく暮らし
逗留生活を満喫していると聴き
東照権現が戦国最強に乗って奥州に引き返してくるのはもう少し後で
その間にも二人の関係は密になっていくのだった。
小十郎の苦労も虚しく。
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自分でプレイしなかったんだけれど（…）家康緑ルートラストステージで
元親を仲間にしてプレイしてたのを横で観てて、
こんなＥＤだったよねと。
相変わらず未満でスマン。
多分家康→政宗はラヴじゃない。どっちでもいいんだけど。
あとゲームのナレーションっぽいのを狙った。らしい。
【２０１０１０１７】