ツナガルメグル / 蒼天の霹靂;閑話

 

積極的に教えた訳じゃないけれど
政宗は「伊達政宗公」のエピソードを知っていった。

その中で印象的だったのは
「政宗公」の最期と、
真田幸村の末路についての記述を目にした時の様子だった。

「仙台…真田?」
「うん。
こっちの世界の歴史では
夏の陣で幸村さんが死んじゃうんだけど
息子や娘さんを片倉さんが引き取って、
血族は残ったって話。
さすがに暫くは内緒にしてたらしいけどね。今は正式に公表されてる。
『真田幸村』の子孫は仙台にいるって」

「……敵方だった相手の子を受け入れたか…
そりゃあ…随分酔狂だな」

呆れた風に呟きながらも
浮かべた表情は酷く恍惚としたもので。

それは多分「真田幸村」を生涯のライバルと認めているこの政宗さんにしか出来ないものだろう。
俺の敬愛する政宗公は
そこまで「真田幸村」に思い入れが有った訳ではない筈。

「アンタが『政宗公』に惚れた気持ちもわかるぜ」
「政宗さんもしてみたら?
あんたらなら片倉さん挟んでじゃなく
息子娘で交換してもっと密な関係築けそうだし」

話を聞く限りライバルとして相思相愛みたいで
相手も歓んで話に乗りそうだ。

「魅力的な提案ではあるが
残念だがそうはなりそうにねぇな」
「あー、そっちの真田さんまだ子供いないんだっけ」

この政宗さんと同様、まだ嫁さんもいないとか。

「それもあるけどな」

ニィっと浮かべた笑みは
多分戦場でのものと同じものだったんだろう。
好戦的で不敵で、

魅惑的な。

「アイツが俺の敵として命を落とす事は絶対ねぇ」

戻る場所は戦いの最中。
倒すべき総大将はその人物。

だが自分が敗けるとは思っていない。

ならその言葉の真意は。


今思えば、多分あれが、
墜ちた瞬間だったんだと思う。


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3の政宗(青ルート)は
幸村を殺す気が全く無いよね。っていう。

                                           【20101110~;拍手御礼用】