オトモシノビ / サスダテ


はぁい俺様猿飛佐助。
武田軍の中の真田軍に仕える忍隊の隊長やってまーす。
なんで、戦場ってーと真田の大将に引っ付いてくのが主。
なんだけど。

「よーしテメェら良ーく聴け。
今回政宗様の傍には俺じゃなくそこの猿飛佐助がつくことになった。
仲間だから間違って攻撃したりするんじゃねーぞ。
おら復唱。
『仲間の猿飛佐助さんには攻撃しません』!」
「「「「仲間の猿飛佐助さんには攻撃しません!!」」」」

…竜の右目の旦那が伊達の人達にそんな指導をしているのが聴こえてくる。
そうつまり。

なんでか伊達軍として戦に参加することになっちゃってまーす。
おかしいなあ?

「hey忍。準備は良いか?
楽しいpartyの始まりだぜ」

準備万端の伊達軍大将に声を掛けられる。
はいはいやるからにはきちんとやりますよー。
仲間だって言うなら名前ぐらいちゃんと呼んで欲しいけど。
って俺もか。

突き進む独眼竜の後を追い掛け、時に先行し、
有象無象の兵士を倒していく。
ま、竜の旦那の倒した数の五十分の一にも満たない数だけどね。
ほんっと楽しそうに戦うよね竜の旦那。

数が多くても所詮は兵卒。
真田の旦那の宿敵であるこの御仁には楽な相手ばかりみたいだね。

けど、陣を護る大将には苦戦している。
守備の要とあってか結構固いんだよね。
旦那は痺れを切らし、面倒になったのか必殺技を発動させた。
ので
「ちょろいって!」
ちょっと手助けしてみる。
竜の旦那、刀六本持つと防御力下がるみたいだからね。
お手伝い。

陣大将を倒した混乱の中、竜の旦那は笑顔でこちらを向いた。

「ぐっじょぶ」

多分「良くやった」的な言葉と一緒に。

…その笑顔は反則でしょ…
ただでさえ今回、
いつもの蒼い陣羽織じゃない黒っぽい装束で、
お馴染みの兜をかぶっていなくて、
端整なお顔が丸見えなもんだから、

俺様うっかりときめいちゃってるんですけど。

「っとか言ってる場合じゃなかった!
なにこれ何あれ?!」
「戦国最強だな」
「全力で逃げながら何で冷静っ?!」
「家康んとこに来てるんだから出てこねー方がおかしいだろ。
忍。warpとか出来ねぇのか?」
「なんのことかわかんないけど便利な技があったらとっくに使ってるし
そんな技あったら最終的に困るの旦那だよっ?!」 
俺様基本武田と真田の忍ですから!

「ちっ」
竜の旦那は舌打ちをするとずさっと土煙を上げる。
走るのを止めその場に停止していた。
逃げるのを諦めた―と言うよりも。

「迎え撃つ。援護しろ」
「努力します」

何せ旦那が倒れちゃったら俺様身代わりになっちゃうし。
自分の能力を呪いたいよね。

「…っまずいって」
二人がかりでもさすが戦国最強。
倒せる気がしないまま自分の体力が減っていって、ついに

「ちょい休憩…」

記憶が途切れた。

どれぐらい気絶していたのか。
ふっと意識が浮上し目を開けると独眼竜の顔が見えた。

「…お待たせ」
にっこり笑って見せる。
竜の旦那が俺様を回復させてくれたのは
傍にいてくれてた事でわかった。

竜の旦那はふいっと顔を反らし離れる。

「全くな。
勝手に倒れてんじゃねぇ。
アンタにはアンタの役目があるだろ」
「…え」

それは、真田の大将の補佐、の事かな。
宿敵の心配の延長とか?

「いざって時に俺の身代わりになるはずだろーが」
「そっち?!
…ってあれ? 本多忠勝は?」
きょろ、と周囲を見回す。
あたりに敵影はなかった。 雑兵も含めて。

「アンタが無駄に頑張ってくれたお陰で何とか倒せたぜ。
ah、あと、うちの連中も相当頑張ったみてーだな」

無駄ってどういう意味デスカ。
それと、どうやら伊達軍の皆さんが先行して他の陣を占拠したみたいだ。
皆働き者だねぇ。って。

「って、倒しちゃったの?! アレを?!」
「俺独りでじゃねーがな」
「それでも凄いよ」

よっこらと身を起こす。
観てみたかったな倒すとこ。

「んで、奴さんstandbyしに行ったみたいでな」
「すたんばい?」
「つまり、倒したんじゃなく一時的に退けただけで
また立ちはだかるってわけだ」
「…そりゃまた」
難儀な。と溜め息のように言葉を吐き出す。

「こんなもんでへばるなよ?
この次の戦いこそが本番だぜ」
「へえ、そうなの? 何処行く予定さ」
「上田城」
「へー、真田の大将のとこかぁ。
そりゃまた確かに竜の旦那にとっちゃ本番だよねぇ。
…ん?」

言いながら首を傾げる。
それって。

「あの…それにも俺様連れてくみたいな事言ってません?」
「そのつもりだが?」
何できょとんとして不思議そうにこっち観てんの!
畜生微妙に可愛いな!
じゃなくて!

「そりゃ俺様さすがに真田の大将のとこいないと」
「アン? アンタ分裂出来んだろ。影分身で頑張れ」
「そーいう問題じゃなくて!
ああもうこの戦勝ったら右目の旦那も含めて会議ね!」

ボロボロになりながら、本多忠勝と徳川家康をなんとか倒して。

右目の旦那に直訴して
何とか次の戦は真田の大将の方につかせて貰う事になった。
やれやれ。
いやまあ下手したら竜の旦那に倒されちゃうわけですけども。

でも俺様伊達軍は無理。もう駄目。マジ勘弁。

独眼竜の近くで傍で存在を感じて会話して交流して共闘して。
あの人いちいち妙に可愛かったりカッコ良かったり綺麗だったりちょっと抜けてたりで。
なんていうのか、
無意識に誘ってませんなんか?!
っていう。

ぶっちゃけ理性が持ちません。

欲を抱かずに背中を護っていられる右目の旦那を尊敬しちゃうよホント。 
ってあれ? もしかしておかしいのって自分?

…まあいいや。

けど。

俺様案の定上田で倒されて。
竜の旦那は城を落とした後俺様に
「これでもうアンタを縛ってるもんはねぇな?
付いて来な。
俺が天下を勝ち獲る瞬間を特等席で魅せてやる」
なんて言ってきちゃうもんだから。

はいはい御伴しますよほいほいと。
例えこの生命、竜の旦那の代わりに散らすことになっても、ね。  

 

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折角のオトモシステムなので。
どのルートでもいいんだけど三方ヶ原→上田城なんで茶色(最後が毛利さん)ルートかなー。
佐助さんは無自覚デスヨ? 筆頭は誘ってますよ?
サスダテサスダテ。

一人称は楽しい。

                                 【20110115】