春雷絢爛 / 慶次+政宗

 

 

慶次は思い返してみる。
検証の結果、気のせいじゃないよな、と確信して
本人に言ってみる事にした。

「政宗って幸村に甘いよね」
「……そうか?」
ピンと来ていないらしく首を傾げる政宗に、
強く頷いて見せる。

「同性で同い歳の相手に対して、で考えると
やたら甘いと思うよ。
俺には厳しいのにさ」
「Ah、アイツ変に真面目だからな。
ほっとけない気がしちまう。
アンタは優しくしたくなる要素がねぇ」
「酷いなー」
慶次は苦笑するが、本気で酷いと思っているわけではない。

週刊連載を抱え
不摂生な生活をしてやしないかと心配し
こうしてたまに御飯を作りに来て来れるなど、
有り難すぎて涙が出る程だ。
態度はあくまでつれないのだが。

「けど、ほっとけないからって
そんなに面倒みてやる必要ないと思うけど」
元就が嫉妬して暴挙に及ばないとも限らない。
…被害は政宗にだけ降りかかるだろうが。

「前の世と違って立場は同じなんだしさ」
「前の世だって立場に違いなんかなかったさ」
「天下人の政宗がそれを言う?」
「独りで全部やれてたならふんぞり返っていられるがな。
実際は、小十郎や、
それこそ真田幸村と毛利、長曾我部なんかがいなきゃ
途中で立ち往かなくなってた。
あいつらは戦友だ。
俺―政宗さんはそう思ってた。」

政宗は、自分の中の「政宗」の記憶を探るように瞳を閉じた。

「むしろアイツだけが俺と同じ場所に居た…
そんな気がする。
うっすらとしか記憶がねぇんだが」
「確かに、宿命のライバルだったんだからそれでおかしくないけど…」

政宗は笑った。 艶やかに。
「だから、今回もそうなれれば良い。
あっちが迷惑じゃなきゃな」

この様子では「真田幸村」が「伊達政宗」に告白した事は知らないようだ。
敢えて教えるような野暮はしないが。

「けどそっか。
愛とか恋も大事だけど
そういうのも重要か」

そして政宗のそんな望みを幸村が知ったなら
感激して咽び泣くこと受け合いだった。
 

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もうちょっとしたら慶次にもメシスタント(って今いるのか?)が付いて
政宗も御役御免になりますよ。

基本アシスタントがいる時には政宗は慶次の仕事場には行きません。

                                【20110201~20110211;拍手御礼用】