仮定と未定 / 幸村×政宗

 

  「政宗殿っ!
政宗殿が女人であらせられるとは真でござろうか?!」

「………。
誰に騙されたんだ? 真田幸村」
「確かに! 政宗殿は素肌を晒しておらずそうであってもおかしくはござらぬが
しかし某の宿敵足り得る強さをお持ちで……
……騙された、と申されましたか?」

「おかしいだろどう考えても。
俺が女だったら戦になんか出たりしねぇで
どっかの強そうで純真そうな武将を色仕掛けで誑かして国獲りの戦を任せて
自分は奥州の政治に集中するぜ。
どう考えたってその方が効率が良い」
「まままま政宗殿!
何と破廉恥な!」

「政略結婚なんざ普通によくある話だろうが。
ah、だが片目じゃたぶらかされてくれる酔狂なヤツはいねぇか。」
「そんなことございませぬ!
政宗殿はそうであっても、否、そうであるからこそ見目麗しく…!」
「見栄すいた世辞は要らねぇってか男が男に見目麗しいなんて言われてもな」
「世辞ではござらぬ!
…し、しかし…ふ、不快に思われたならば申し訳無い…」
「悪い。落ち込むなよ。
アンタなりに褒めてくれたんだな。thanks」
「は。い、いやその」

「何だよ煮えきらねぇな。
やっぱlip serviceだったのかよ」
「りっぷさ…?
良くはわかりませぬが
政宗殿を評する言葉に偽りも誇張もござらぬ!
某、そなたには嘘を吐きとうござらぬ故」

「…そう、か。
だが俺は自分が男で良かったぜ。
そうじゃなきゃアンタのrivalにはなれなかったろうからな」
「…っ! 有り難きお言葉…!
なれど、政宗殿は女人であったとてさぞやお強かったと思いまするが」
「無茶言うな。
知り合いの戦ってる女連中を観てみろ。
全員刀なんざ振るってねぇだろ?
それだけ基本的な部分が違うんだよ。」
「うむ。なれど刀こそ扱いはしておりませぬが
どの御仁も大層お強うございます。
しかし確かに政宗殿には六爪がお似合いでござるな」
「つーかそもそもテメェ自分の性格考えてみろよ。
あんだけ破廉恥破廉恥言っといて
女をrivalだと認められるってのかよ」

「…それは…
ですが、政宗殿であれば」
「女であっても女として見る事はないだろうってか?」
「それは…自信がござらぬが」
「ねぇのかよ」

「某は政宗殿の魂に惹かれたのです。
器が違えど些細なことかと」

「…へぇ?
だが今の俺がこうなのは男として生まれ育ったからだぜ?」

「で、ありましょうが…
しかし根本は変わらぬのではないかと。
ですから政宗殿が女人だったとなると宿敵とは違う形の絆になっていたやも…?
むむ。混乱してまいりました」
「ま、仮定の話をしてたらそうなるな。
この話は打ち止めだ」

「ですが政宗殿が女人でなくて安心しました。
ただでさえ想いを抑えるのに必死だというに
これで婚姻を結べる存在であったとなれば
某意識し過ぎて腑抜けになってしまうところでござった」

「…想い?」

「……っ」
「真田幸村?」
「今のはその、こ、言葉のあやにて…」
「心にも無いこと、だってのか?
アンタ、俺に嘘は吐かねぇってのは嘘か」
「……ううっ。
そ、某はその…っ」

「…まあ良いか。
言いたくなったら白状しな。
だがこれだけは言っておく」
「…は」

「アンタが俺をどんな目で視てようと
俺はアンタを宿命のrivalだと定めてる。
この先、他に違う関係が付属したとしても、な」
「……っ?!
そ、それは一体…?」
「アンタが包み隠さず全部さらけ出したら教えてやる」
「……前向きに、検討することに致す…」

「で、結局誰に吹き込まれたんだ?」
「お、お館様が
某に、政宗殿を嫁に娶られるならば言うことはないのに、と」
「…あのオッサン…
つかその言い方だけじゃ俺が女ってことにゃあならなくねぇか?」
「しかし、女人でなければ嫁にはできますまい」
「アンタはもう少し冗談に慣れるべきだな。
なんであんな軽い忍が常時傍に居てjokeの一つも理解出来ねーのかねぇ」

「…今はなんとなく政宗殿から佐助の話は聴きたくない気が致すのですが」



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現在拍手に置いてあるテーマの幸村バージョン。
拍手用に短くするために会話だけだと言うのにやたらめったら長くなったので通常更新。

女体化を否定してるわけでなく、
自分じゃまず書けないから、
とりあえず想定したらどうなるか各人である意味シュミュレーションしてみたっていう。

ちなみにオチは佐助と対。

                                  【20110228】