並び立つ夢  / 家康×政宗

 

 

「独眼竜が女性でなくて本当に良かった」

「ah? なんだよ藪から棒に。
つかなんだその有り得ねぇ前提での安心」
「お前が女性であったなら
ワシが育つ前に何処かに嫁いでしまっていただろうからな」

「…まあ見た目は兎も角
奥州の国主の家系だ。
それなりに縁談は有ったかもな」
「何を。
お前の見た目も相俟って引く手数多であったろうよ」
「片目だぜ?」
「やはりそれを気にするのか?
ワシは気にしないぞ。
喪った右目毎が今のお前だ。
だからこそワシは尊敬の意を込めお前を独眼竜と呼ぶ。」

「………。
それは今取って付けた理由、だろ?」

「違う。
ワシはお前の心の強さが好きだ。
同時に、過去の痛みを抱えたままの心の弱さを愛している。」
「カッコつけてくれるじゃねぇか。
家康の癖に」
「多少見栄を張らねばお前の隣に立つことは叶わないだろう?
足りない分は少しずつ身に付けていく。
だから今暫く待って欲しい。
誰のものにもならずに」

「豊臣秀吉を単身倒せた程成長したテメェをこれ以上更に待てってのか。
子供の我儘は容赦がねぇな」

「……独眼竜」
「なんだ」
「待ってて…くれたのか?」
「さぁな。
だがその呼び方が俺を尊敬している証だってんなら
そう呼ばれている内はさっきの熱烈な告白は無かったことにして良いんだろ」
「…ああ…あ、いや…っしかし」

「その間に俺が他の奴に靡いても悪く思うなよ。
さすがに何時になるかわからねぇ事をずっと待ってられる程
気が長くなくてな。
you see?」
「……っ!」

「話はそれだけだな?
なら俺は戻るぜ。じゃあな。」
「ど……

っ政宗っ!」
「………何だ?」

「ワシはまだまだだが、けれど、傍に居てくれ!
お前を他の誰にも渡したくない!」

「GOOD!」

「ど……政宗」
「俺は完璧な相手を求めてる訳じゃねぇ。
アンタがアンタの理想に届くとは限らねぇ。
なら待つだけ無駄だ」
「酷いな」
「俺は今まで自分の意思で待ってたんだ。
それを、待っててくれ、なんて押し付けてこられるなら願い下げだ。」
「すまない…」

「わかればいい。
無理に名前を呼ぶ必要もねぇ」
「いや。
ワシはお前に甘えていたんだな、政宗。
やはりお前には一生勝てる気がしないな。」

「ああ。百年早いぜ」 




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筆頭は有言実行もするけど
国主と言う立場上何も言わないまま無かった事にするのにも慣れてそうだ。



                             【20110301~20110411;拍手御礼用】