来、越える声 / 元親×政宗

 

 

「なあ竜の兄さん。
竜の兄さんが竜の姐さんだった、なんてこたー
…ねぇか」
「ねぇよ。
なんだってんだいきなり」

「いやぁな。
野郎共がそろそろ身を固めろって煩くてな」
「固めりゃ良いだろうが。
三代目辺りはどうだ?
アンタんとこの手下に怯まず巧くアンタを操縦してくれそうじゃねぇか」
「サヤカかよ?!
あっちから願い下げだろ。つか操縦ってななんだよ!
そこはせめて操舵だろ?」
「そこかよ」
 「てーか話の流れから察しろよ」
「何をだよ?」

「アンタが女だったら万事解決ってこった」
「俺が、アンタと?
両目が利かねぇ子供が生まれたらどーすんだ」
「アンタのそれは生まれつきじゃねぇだろーが」
「どうだかな」
「ま、例えどんな子供が生まれたとしても
俺とアンタが愛情込めて育てりゃ強く育つさ」

「………。
だとしても俺には産めねぇんだけどな」
「そーなんだよなー!
跡継ぎとか気にしなくてすむんなら
相棒にしてぇのはアンタをおいて他には居ねぇってのに!」
「アンタの船に乗るのはお断りだぜ?」
「アンタが奥州を棄てられねぇのはわかってるさ。
何で四国と奥州ってのはこんなにも遠いのかねぇ」

「…アンタが手下ごとうちに来て
水軍を受け持つってのが一番話が早いんだが
アンタも四国を捨てらんねぇんだろ?」
「みすみす毛利の野郎にくれてやるわけにはいかねぇからな。
民の事を思うとよ」
「そうだろうな。
…それで良い」

「…そんな表情されちゃ離れ難いぜ」
「なら離れなきゃいいだろ。
仕方ねぇだろうが。淋しいもんは淋しい」
「ヤケに素直じゃねぇか。
珍しい事もあるもんだ」

「…俺は―」
「野郎共にはどうにか諦めさせねぇとな。
身を固めるのは無理だ、って事をわかって貰わなきゃなんねぇ」
「…西海の鬼」

「待ってな。
もっと速い船を作って今以上に足繁く通ってやる。
アンタをあんまり哀しませないようにな」
「all right
楽しみにしてるぜ、元親」

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元親は大事なとこわかっていないながら
人間関係の基本がしっかりしてて結果オーライ的な。

思い込まないほうがいい結果を生むタイプかと。

                       【20110303~20110415;拍手御礼用】