遺されし右目 序章

 




 諸注意。
※小十郎燃えを追求した結果がこれ※
※場合によっちゃ風魔×政宗じゃね?※

 

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夜半過ぎ、
小十郎は虫の知らせを受けたように、
予定にはなかった政宗の私室を訪れた。
既に就寝しているはずの時刻である。

「政宗様、失礼致しま―?」
すっと襖を開け、
むっと鼻腔を刺激する臭いに眉を潜めた。

戦場で嗅ぎ慣れた匂い。
噎せかえるような血の―

「っ政宗…様…?」

そこには風の悪魔が居た。
政宗の寝具を踏みつけ、
その腕の中には
胸から血を流し蒼白の顔色をした
生命活動を停止したようにしか見えない

政宗があった。

「…テメェ…」

小十郎が一歩足を踏み出すと、
ざわりと闇が動き、
溶けるように風魔の姿がかき消える。

腕の中におさめていた政宗ごと。

「政…宗様…」

遺されたのは紅に染まる寝具と
未だ状況を呑み込めていない
―否、
信じられない小十郎のみ。

完璧な仕事をこなす風魔が標的以外に姿を晒すことはない。
わざと姿を見せたとしか思えないのだが
小十郎の精神状態はそれどころではなく気付かない。

「っああああああ!!」

深夜の城内に響き渡ったのは
慟哭と呼ぶには生温いまでの血を吐くような叫び。

「政宗様っ、政宗様っ! 政宗様っ!!
っ何故俺は此処に居る!!!
何故俺が生き残っているのだ!」

城内の者はその声に飛び起き、
何が起きたのか知った。

だが、小十郎の元へ行き仔細を尋ねる勇気を持った部下はいない。

数刻後、落ち着いた小十郎は
「っククク…
ははははは!」
落ち着いたとは思えないような笑いを漏らした。

それは、夫を失った市よりも深く暗い闇。
闇雲に向けられる憎悪と殺意。
近くに居る者全てを屠りかねない凶悪な。

正気である分、一層手に負えない狂気が、
枷を外れ噴出した。

「風魔…伝説の忍だかなんだか知らねぇが、誰かに命令されてだろうが
テメェが奪ったその生命、
テメェの生命だけでは購いきれねぇ尊きものだと思い知れ…!
テメェの裏に居るであろう誰か共共な!」


夜も明けきらぬ内に
小十郎は城を後にした。
己と同じく主を守りきれなかった城内の者に罪を擦り付け
危害を加えてしまわぬように。

自分の生命を終わらせる前に
全てを滅ぼす。

遺された竜の右目は解き放たれ、
世界の脅威と化した。
   

                                                   ゴメンなんか続いてた【中間は省略】

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アニメ弐期最終回での半兵衛の台詞から妄想した。
あとBHの台本全集も手に入れてしまったので増幅した。
こんな話をどっかの誰かがやっててくれるといい。…いいの?

                                                    【20101023】