太平磐石 /家康+政宗

支度と始末の後。 

家康は政宗の執務室を訪れた。

先日、元親が家康の元を訪ね
四国壊滅のかいつまんだ経緯を話した後
家康の仕業だと誤解していた事を謝って行ったのだが
家康はそんな事になっていたなどまるで知らずにいた。

政宗とのやり取りの話も聴き、
これを機に気になっていた事を色々尋ねてみようと思い
単身足を運んできた。

まず元親の事に丁重に礼を言い、
次いで疑問をぶつける。

「独眼竜。
お前は何故自分の天下を望んだのだ?」
「ah? 何を今更」
政宗は眉を潜める。
泰平が成ったこの時にする質問かと。

「確かに今更だが、
だからこそ理由を訊きたい」
「それに気づいたからこそテメェは豊臣秀吉を倒したんだと思ってたんだが
違ったか?」
「なにに、だ?」
政宗はひょいと肩を竦める。

「自分以外の天下の世は
望まねぇ世界が訪れかねねぇ。
なら自分が主導権を握るのが一番だろう?
それに」
ふっと微笑み、
協力してくれている顔触れを脳裏に浮かべる。

「俺は、自分が正しい世を作れると言い切れるまでの自信家ってわけでもねぇ。
ただ、道を外れた時正してくれる奴の存在を信じてる。
…そう言うことだ」
「そう、か…」

納得したように安心した表情に変わった家康を
政宗はじっと見つめる。
有り得ない未来で知った、
家康と同じ名前の天下人の所業を思い出しながら。

「今のアンタならまあ理想に近い世界を作ってくれるかも知れねぇ。
だがアンタがずっと変わらずにそのままだなんて保証はねぇし
俺の意見が全て通るわけもねぇ。
なら自分で治めるのが一番だ。
you see?」
「相わかった」
素直に深く頷く家康に、少しばかりの居心地の悪さを覚え
政宗はぽり、と頬を掻く。

「だが俺もいずれ死ぬ。
次の世代の連中がきちんと意思を継いでくれるかの不安は拭えねぇ。
アンタの息子みてーに鎖国おっ始める可能性が無いとは言えねぇしな」
「ワシの、息子?
鎖国とは何だ?」
「こっちの話だ気にすんな」
「そう、か?」

誤魔化されたが、その言葉は家康の中に残った。
訪れない未来の記憶に持っていく程に。


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あ。家康現代篇参戦フラグが。
混ぜるな危険、って気もするのだけれど。石田も含め。

                          【20110121~20110201;拍手御礼用】