背反が両立 / 風魔×政宗

 

傷ついた身体を引きずってまで、 自ら松永の元に赴き みすみす明け渡してしまった己の刀と 人質になったままの兵士を取り戻しに行こうとしていた政宗を 力づくで止めた小十郎は 意識を失った政宗を優しく寝かせてその場を後にした。 主に代わり松永に逢いに行く為に。 途中、部下に政宗を丁重に運んでおくよう言い付けた。 だがその部下達は、 言われた場所に足を運んだものの政宗の姿を見付けられなかった。 何となれば、二人の戦いの様子を観ていた風魔が 気絶した政宗を物陰に連れ去り隠していたからだ。 「アンタ…忍か?」 「…………」 覚えのない気配に反応し意識を取り戻したのか 政宗はうっすらと開けた左目で風魔を視た。 「HA、オレの生命を獲ろうってか。 確かにこれを逃せば次がない程のCHANCEだろうな」 「…………」 風魔は懐から小さめの竹筒を取り出した。 中には液体が入っているのだろうと政宗は見当を付ける。 「毒殺でもしようってのか? 随分とまどろっこしい方法じゃねぇか。 背中の刀は飾りか?」 言いながら、 絶体絶命の状況に置かれて尚悪態を吐いてしまう自分の性格に苦笑を浮かべる。 こんな所で殺されてしまったら 自分を此処に置き去りにした己が右目は 血を吐くほど嘆き哀しむだろうか。 そんな風にはさせたくないが 動かない身体ではこの窮地から脱け出せそうになかった。 「……………」 風魔―政宗にとっては名も知らぬ忍は 蓋を開けた竹筒の中身を自らの口に含む。 「……? どういうつもりなんだ…?」 毒薬ではないらしい。 政宗がそう判断したことがわかると、 風魔は政宗の兜を丁寧に脱がせ 口内にあった液体をそのまま呑ませた。 「…………っ?!」 口移し、と言う手法で。 「~っ!」 政宗の喉仏がごくりと動き、嚥下した事を確認して 漸く解放する。 「っは、今のは……?」 尋ねながら風魔の様子を窺う。 すると今度は何やら軟膏のようなものを取り出していた。 忍と言うのはこうも準備が良いものなのかと眼を丸くしていると、 伸ばされた手が、 政宗の装備に掛かった。 「what?! …待て、アンタ何を…っ!」 制止の声もまるで役には立たず、 あっという間に裸に剥かれる。 思わず感心してしまうほど手際がいい。 「…………」 下穿き一枚身に付けただけの政宗の裸体を 風魔は無表情のまま観察する。 そして痛みの元となっているであろう箇所を見つけ出し、 優しい手付きで薬を塗っていった。 「………っ!」 政宗はびくりを身を震わせる。 痛みからではない。 擽ったさと、快感から。 「…っアンタが、」 「…………」 熱を孕んだ声に 風魔は手を止め政宗の顔に視線を注いだ。 「治してくれようとしてんのは…わかった。 自分でやる。 薬だけ渡してくれれば… …っは?!」 言葉の途中で風魔は行為を再開した。 一層、政宗の敏感な部分を刺激するような動きで。 厚意で塗ってくれている。 政宗は自分にそう言い聞かせ、 こそばゆさや心地好さをなるべく気にしないようにと耐えたが、 意思に反して反応してしまう部分はどうしようもなかった。 いくらなんでも触れられるだけでこうまで感じてしまうのはおかしい。 飲まされた薬で痛みは和らいでいた。 その替わり、妙な部分が敏感になってしまっているのではないか。 政宗は朦朧とする頭でそう考える。 気を逸らさなくては堪ったものではなかった。 「…………」 気が付けば風魔が手を止めその部分を凝視している。 布越しでも明らかな形状の変化。 政宗は恥ずかしさで死ねそうだった。 「後生だ。もうほっといてくれ… ってオイ!」 風魔は残されていた最後の砦を容赦なく暴き やんわりと触れたかと思うと 躊躇いもせずに吸い付いた。 「そんなこと…っあ!」 「…………」 「駄目だ、離れ、ろ…っ!」 「…………」 「く…っもう………」 「…………」 政宗は経験したことのない快楽の渦に飲み込まれ、 鼓動は早鐘となり、 呆気なく果てる。 風魔は絶頂が形となって吐き出されたモノを しっかりと口内に受け止め一滴残らず飲み干した。 口を離す前に周囲も綺麗に舐め取る。 「…っは、……はあっ」 粗い息を吐き続ける政宗に 全てを終わらせた風魔は丹念に服と鎧を着せていった。 その行動を甘んじて受け入れながらも政宗は眉を寄せる。 「アンタ一体何をしてぇんだよ」 殺しに来たわけではなかったようだ。 むしろ助けに来たような行為であったが、 初めて逢う忍にそんなことをされる謂れはない。 「…………」 風魔は政宗を見つめたまま固まったように動かなくなった。 質問され、初めて自分の行いを省みたかのように。 「おい…?」 「…………」 風魔は紙切れを一枚取り出した政宗に差し出した。 大仏殿、とだけ記されされたそれが何を指すのか 瞬時に理解する。 「松永の野郎の居場所か…!」 身を起こそうとする政宗を風魔は肩を掴み押し戻す。 その意図はわかった。 「all right、往くのはちゃんと休んでからにしとくぜ。 ……なあアンタ」 「…………」 一連のやりとりの中、 相手は一言たりとも喋らなかった。 話さないのか話せないのかはわからないが。 だから問い掛けに返事は期待していない。 「また……逢えるのか」 「…………」 風魔は応えるように政宗を優しく引き寄せ、 ふんわりと腕の中に閉じ込める。 自分もまた逢いたいと、そう望んでいると 態度で表すように。 それは一瞬の事で 風魔は身を離すとふっと姿をかき消した。 漆黒の羽を遺して。 政宗は地面に体重を預けた。 緊張して微妙に身体を浮かせていたらしく 小十郎や風魔のせいだけではない疲れを覚えていた。 妙に気だるい。 「…気障な野郎だぜ… 大胆な事しやがったクセによ」 それとも忍にとってはあんなのは何でもない事なのか。 さらりとやってのけたと言う事はそうなのかも知れない。 だとしたら意識し過ぎた自分がこっ恥ずかしい。 鼓動の速さが相手への想いの証なのではと 錯覚でもしてしまった自分が。 政宗はごろりと大の字に寝転がる。 風のように去って行った忍の事は無理矢理意識から追いやった。 だから、自分と小十郎の行動を監視していたであろう事、 松永の居場所を知っていたことや、 それを政宗に教えたことについては深く考える事は無かった。 「死のうと思った事は、ねぇ… 死にに行くんじゃねぇ。 自分の身体の具合ぐらいわかる。」 そのままの体勢で深呼吸をする。 痛み止めとおぼしき薬を施されているが まだ剣を振るえる程ではない。 小十郎との戦いで力を使い果たした。 回復にはもう暫く時間が必要だろう。 右手を上に上げ、握り、開く。 「…間に合わねぇかも知んねぇが、オレも往かせて貰う… partyに参加させて貰うぜ、小十郎」 足手まといになるつもりはない。 政宗はそっと眸を閉じた。 政宗の許から翔び立った風魔が その小十郎の前に立ちはだかっているとは 予想だに出来ずに。

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外伝の小十郎ストーリーの展開からここまで妄想できましたよ。
ばさらの人達の回復力のことは置いとくよ。
(まあ小十郎さんは筆頭の怪我とかよりもあの松永ともっかい逢わせるのが嫌で
止めた気もする)

「の」の方の小十郎さんの苦悩はだから必要なかったんだぜ!(ヒドイな)
風魔さん視点も書いてもいいが一層酷い事になりそうな気がする。

直接的な単語を使わず何処まで描写できるかに挑戦でもしているのかって言うか
なんでこのサイトエロ担当がストイックそうな毛利さんとか風魔さんになっちゃうんだろうな。

                                        【20110507】