Testimonial / 現代パロディ;政宗総受

 

Teachable の続。

職員室に戻った政宗は即座に同僚に声をかけられた。

「伊達。
貴様、テストでデートを賭けたと聴いたが真実か。
それでも教師か」
冷たい視線できつく言われ少し怯むが
自分でも軽はずみだったと思っているところだったので逆に開き直る。

「仕方ねぇだろ押し切られちまったんだから」
「それでも教師か」
重ねて言われ、政宗は
「…悪い」
素直に謝ることにした。
そうしない限り延々と言い続けるに違いない。
そういう男だ。この毛利元就は。

ふう、と溜め息を吐いた元就は
「で、条件は」
と尋ねる。
隠す理由もないので政宗は
「次のテストで百点満点」
と正直に応えた。

「…ふむ。
それが正確な言い方と申すか」
「そうだが」
「成程ならば貴様に知恵を授けよう。
使う使わないは貴様次第よ」
「どんなだ?」
「採点が百点に満たなければ良い」
「十点満点とか五十点満点にしろ、って事か?」
「他の者共より話が早くて助かる」
「そりゃどーも。
けどそれって逃げになんねぇか?」

「…貴様、
よもや正々堂々勝負をしたいなどと寝言を申すのではなかろうな」
「寝言を言っちゃ悪いか?」
逃げたくない、と眸に意思を滲ませる政宗に
元就は僅かに眉を潜めた。

「使う使わないは貴様次第、と言ったのは我よ。
文句などない。
しかし阿呆だと思わざるを得んな」
「悪いな毛利」
「謝るでないわ」
「いや。
どうにかしてくれようとしたんだろ?
助言Thank Youな」
不貞腐れたような元就に政宗は笑顔を向ける。

「今度家来いよ。
礼にはなんねーかも知んねぇが、
飯、振る舞うぜ」
「貴様の手料理か」
「YES」
「デザートも付くのであろうな」
「お望みならな」
「ならば馳走になるのもやぶさかではない」
「ははっ。
OK、期待しとけよ」
不機嫌なままの承諾に、政宗は笑ってしまった。


数日後。
授業開始直後に配布されたテスト用紙を見て
家康は丸い眼を更に丸くした。

「伊達先生。
このテストは?
長文があるだけなのだが。全て英語の」
「その長文に細かく番号が振ってあるようだが」
三成の指摘に政宗はこくりと頷く。

「間違い探しだ。一つ一点。
現国のテストでよくあるだろ?」
「一つ一点、だと?
ならばよもや」
キッと眦を吊り上げる三成に政宗はニヤリと笑んで応える。

「察しの通り、百個間違いがある。
文法、綴り、加えて内容」

「内容とは?」
まだ頭にハテナマークを浮かべている幸村に
「矛盾、だな。
台詞を言ってるヤツが違う、とかの」
試験説明は一応テスト用紙に書いてはいるのだが
家康の言葉通り全て英語、
つまり問題文も含めてなので
わかりにくいだろうと口頭で軽く説明する。

「解答欄には『その他』もありまするが」
「文字通りその他だ。
文法でも綴りでも内容でもねぇが明らかな間違いを書け」

ずっと英語の長文を視ていた家康は目を回し頭を抱えた。
「いくらなんでもこれは難易度が高過ぎやしないか?」
「貴様のせいだぞ家康!」
「授業時間いっぱい使っても答えられる気がいたしませぬ!」
家康、三成、幸村に続き他の生徒も次次に文句を口にするのを
「Be quiet!」
政宗は一喝で鎮める。
そして静まり返った教室を見回し、
満足げに頷いた。

「ある意味テメェの得意な選択問題だぜ、真田。
問題にはテメェらが習ったものしか出してねぇ。
Quizだとでも思え。
ま、赤点は追試だがな」
再び巻き起こりかけたブーイングを政宗は一睨みで黙らせる。

「Hintとしては配点と、
あと同じ番号の部分も二重に間違ってるのがある、ってことだ。
よし始め」

三成は改めて回答用紙を眺めた。
「配点…成程、一つ一点と言うことは
どう間違ってるのが何個かはわかるのだな」
「しかしその他が三十五点なのだが…
どう間違っているのかすらわからんものが三十五個もあるのか?」
「……」
家康の指摘に三成はむうっと押し黙る。

そっと窺うと政宗はにやにやと嗤っていた。
実に楽しそうだ。

「伊達先生の性格を考えると…もしかしたら」
「ならば、言うほど難易度は高くないな」

その日の内に回収した答案用紙の採点をしていた政宗は
「ほとんど気付いたな。上出来」
と微笑んだ。

その他、の答は「間違いが百個もない」だ。
ちゃんと問題文部分にも番号を振ってある。
これさえ当たっていれば追試はない。
間違いを百個作るのが面倒だったからではない。決して。

「…真田は逆にそれ以外が全問正解か。
あいつ、もしかして英語理解してんのか?」
「いやいや。旦那のは完全に勘じゃない?
だってなら伊達ちゃんのトラップに引っ掛かって
『その他』に三十五個も番号書かないっしょ」
「Trapたぁ人聞きが悪いな猿飛」

いつの間にか戻って来ていた隣の席の佐助は頬杖をつき
「それよりー」
と口を尖らせる。

「毛利先生に手料理振る舞ったんだって?
俺様も食べたいなー伊達ちゃんの手料理」
「ah? アンタ、真田の世話してるんじゃねぇのか?
アンタが独りで外で喰っちまったらアイツはどーする」
「無駄に優しいのも考えものだよ伊達ちゃん。
そうなっても真田の旦那は真田の旦那でなんとかするって。
実際飲み会とかで作れない時なんかもあったし
…次の日台所の片付け大変だったけど。
レトルトとか外食とか出前とかで何とかしてって頼んだのに
何で頑張ろうとしちゃったんだか…」
「向上心があるのは良いことなんだがな。
なんなら真田ごと来るか?」
「えー。生徒に贔屓したくないからこその今回のそのテストでしょ?」
「そうなんだが」

佐助に料理を食べさせる事自体は問題ないらしい。
よしもう一息、と佐助が身を乗り出したその時。

「だからと言ってテメェが政宗様の手料理を喰う理由にはならねぇだろうが!」
政宗の押し掛け保護者が現れた。
「げっ。片倉の旦那!」
「堅いこと言うなよ小十郎。付き合いは大事だろ?」
「伊達ちゃん…!」
政宗が味方に付いてくれ佐助は安堵する。

「御自宅に招き手料理を振る舞われるのは教師同士の付き合いからは逸脱しておられます!」
「そうか?
友人ならアリだろ」
「だよねー」

政宗は「って言うか」と採点の終わった答案用紙を二枚取り出す。

「このテスト。
結局徳川と石田が満点だったんだが
いっそ二人も混ぜるか」

「それはもはやデートではない気がするが喜んで!」
「わ、私も呼ばれる意味がわからないが教師からの誘いを断るのは不義だな!」
「わー。堂堂と盗み聞きかぁ二人とも」
果たして何処から話を聞いていたものやら、
手を挙げて存在を主張する家康と
わけのわからない理由で来る気満満の三成に佐助は脱力して肩を落とす。

職員室に当たり前に生徒が入ってきているのは何故だろう、
と室内を見回すと
元親がいい笑顔を向けてきた。
入口でそわそわしていた彼らを、招き入れた犯人が判明した。

「こうなるともう真田の旦那も呼んでもいーかなあ」
「満点ではないのにか?!」
三成が不満を顕にするが、
「猿飛の被保護者みてぇなもんだからな。
留守番は可哀想だろ」
政宗の一声で口を噤む。

結局近い内に纏めて政宗宅に招待、の運びになったのだが。

「やはり生徒と言う立場は弱いな」
家康は嘆息し
「同僚どもめ…!」
三成は憤慨した。
だが佐助としては。
「なに言ってんの。
石田くんは生徒だから伊達ちゃんにちゅーして貰えたんでしょ?
狡いのはそっち」

本当に生徒に甘い、と苦笑する他ない。
 

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総受けって言うよか政宗を中心に皆仲良し?的な?
漁夫の利は元就と幸村。

赤点て35点あたりがボーダーでしたよね?

                                              【20110610】